サッカーに必要な「4つの速さ」とは?

最高速度だけでは育たない、サッカーのスピード能力
足が速い選手は、サッカーでも速いのでしょうか?
実は、最高速度が同じ選手でも、試合中の動きには大きな違いが生まれることがあります。
その理由の一つが、サッカーでは直線的なスピードだけでなく、加速・減速・再加速といった異なる身体能力が求められるからです。
サッカーで育てたいのは、最高速度だけではありません。
今回は、サッカーに必要な「4つの速さ」と、それぞれを支える身体機能について解説します。
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サッカーに必要な「4つの速さ」とは?
サッカーでは、長い距離を速く走る場面だけでなく、短い距離でスピードを上げ、必要なところで減速し、次の動きへ切り替える場面が繰り返されます。
この記事では、その身体能力を「最高速度・加速・減速・再加速」の4つに整理します。
| 4つの能力 | サッカーで求められる動き | 主に関係する身体機能 |
|---|---|---|
| ① 最高速度 | 速く走る力 | 短い接地時間での力発揮・神経筋の働き・走動作[1] |
| ② 加速 | 素早くスピードを上げる力 | 水平方向への力発揮・筋力・全身の協調性[2] |
| ③ 減速 | 素早くスピードを落とし、身体を制御する力 | 遠心性筋力を含む下肢の筋力・姿勢制御・接地の仕方[3] |
| ④ 再加速 | 動作を切り替え、再び素早く動き出す力 | 短い時間での力発揮・身体の向きと重心の調整・動作の切り替え[4] |
※「4つの速さ」は、サッカーの動きを理解しやすくするための表現です。減速は速度を落とす能力を指します。また、再加速は加速能力を土台としており、4つが完全に独立した能力という意味ではありません。
例えば、相手に近づくために加速し、行き過ぎないように減速する。そして、相手の動きに合わせて身体の向きを変え、再び動き出す。
この一連の動きでは、速く走る力と、スピードを調整して次の動きへつなげる力の両方が必要です。
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同じ最高速度でも、サッカーでの動きに差が生まれる理由
例えば、最高速度30km/hを出せる選手が2人いたとします。以下は、能力の違いを説明するための架空の比較です。
選手A
最高速度 30km/h
直線では非常に速い。
加速や減速を繰り返すと動きの質が落ちる。
高速走行を繰り返すことが苦手。
選手B
最高速度 30km/h
直線では同じく非常に速い。
加速・減速を頻繁に行える。
試合中に何度も高速走行できる。
最高速度は同じでも、試合の中で発揮できる動きは同じとは限りません。
サッカーでは、相手やボールの動きに応じて、加速・減速・方向転換・再加速を繰り返す必要があります。選手Bのように複数の能力を組み合わせて発揮できることが、プレーを支えます。
最高速度が高いことと、そのスピードをサッカーの中で繰り返し発揮できることは、必ずしも同じではありません。
違いが生まれる理由の一つは、速く走る動き、スピードを上げる動き、減速する動きで、力の出し方や身体の使い方が異なることです。
なお、実際のプレーには、相手を見る力や判断、動き出すタイミングも関わります。ここでは、そのプレーを実行するための身体能力に焦点を当てます。
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4つの能力をバランスよく育てることが重要
最高速度を伸ばすトレーニングは大切です。ただし、それだけで減速や切り返し、再加速まで十分に身につくとは限りません。
それぞれの動きでは、身体に求められる役割が変わるからです。
最高速度|短い接地時間で力を発揮する
高速で走るときは、足が地面に触れている短い時間の中で、身体を支える力を発揮する必要があります。脚を素早く動かすことだけでなく、接地と全身の動きをつなげることが大切です。[1]
加速|力を前へ進む方向につなげる
加速では、地面に加えた力を、身体を前へ進めるために有効に使う必要があります。筋力の大きさに加え、身体の傾きや足の接地、全身の連動など、力をどの方向に伝えるかが関わります。[2]
減速|勢いを受け止め、身体を制御する
減速では、前へ進んでいる身体の勢いを受け止めます。筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する「遠心性筋力」を含む下肢の筋力に加え、足の着き方や姿勢の調整が重要です。[3]
ただ急停止することが目的ではありません。必要な位置と速さに合わせて減速し、次のプレーへ移れる姿勢、体勢をつくることが大切です。
再加速|切り替えた先へ、もう一度力を出す
再加速では、減速した状態から再びスピードを上げます。特に切り返しの後は、身体の向きや重心を調整し、進みたい方向へ素早く力を出す必要があります。
方向転換の研究でも、速い選手は、短い接地時間で水平方向の推進力を発揮し、身体を進行方向へ向ける動きに特徴がみられています。[4]
育てたいのは、プレーにつながる力の組み合わせ
こうした違いを踏まえると、育成では「速く走る」ことに加えて、「止まる」「切り返す」「もう一度動き出す」という動きも経験していくことが大切だと考えられます。

バランスよく育てるとは、4つを同じ時間・同じ量で練習することではありません。年齢や成長段階、得意な動きと課題に合わせて、必要な経験を組み合わせることです。
SPOReLAでは、身体づくりから動きづくり、サッカー特有の身体操作へとつなげながら、身体を支える、重心を移す、力を伝える、動作を切り替えるといった土台を育てます。
最高速度を伸ばしながら、その力をプレーの中で使うための身体能力も高めていく。その両方を大切にしています。
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まとめ|4つの力を、試合の中で何度も発揮する
最高速度を伸ばすトレーニングだけでは、
サッカーに必要な身体能力を十分に育てられない。
だからこそ、走る速さを磨きながら、加速・減速・再加速、そしてそれらを繰り返す力まで、つなげて育てることが重要です。
「どれだけ速く走れるか」から、「その速さをプレーの中でどう使えるか」へ。
身体の使い方と動きの質を高め、サッカーで発揮できるスピード能力を育てていきます。
参考文献
1. Weyand ほか(2000)
Faster top running speeds are achieved with greater ground forces not more rapid leg movements.
2. Morin ほか(2011)
Technical ability of force application as a determinant factor of sprint performance.
3. Harper ほか(2021)
Relationships Between Eccentric and Concentric Knee Strength Capacities and Maximal Linear Deceleration Ability in Male Academy Soccer Players.
4. Dos’Santos ほか(2020)
Biomechanical Determinants of the Modified and Traditional 505 Change of Direction Speed Test.
5. Baldi ほか(2017)
Repeated sprint ability in soccer players: associations with physiological and neuromuscular factors.
6. Mendez-Villanueva ほか(2012)
The Recovery of Repeated-Sprint Exercise Is Associated with PCr Resynthesis, while Muscle pH and EMG Amplitude Remain Depressed.
身体の土台から、プレーの成長へ。

